背中の温度
ほのかな想いを残すように
智さんからいただいた、37373+1のキリリク「残り香」をテーマに描かせていただきました。 070713
薬剤師ハッピーバースディ!
さりげなくマンドレイクも。クロードは彼女のリボン作戦(私をあ・げ・るv)をパクりました。
「おっ、なんだなんだ。いーい背中してきたじゃねえか」
「は?」
ぽん、とジャケットごしに伝わるのは、違えなく優しい拳。
左肩に顎を寄せると、その人はいつものように笑っている。
「別に……体重も身長も、変わってませんけどねぇ?」
首を捻ると、違ぇって、と軽い口端で否定した。
「あれだけ食っておいて変わらんのも妙だが、惚れる背中になってきたってことさ」
え。
驚きの言葉が漏らせないほどに、息がつまる。
「そ、そうですか?」
「そうさ」
背中に当たる拳は、きっと太鼓判。
「女にモテモテだ、俺のように! まぁ俺には敵わねぇが!」
ああ、そうくるとは思っていたが。
「説得力が完全になくなりました」
肩を竦めて、ゲーム音声のように告げると、背中の拳はそのまま冗句な殴り者。背中にスタンプ。(右反転で文)
「ボーマンさんっ」
突然。
背後から覆い被さってくる、声と熱量。
クロードはそのまま顔を覗き込んできた。重みで、肘が膝からずれる。
「さっきから呼んでるのに、全然聞こえてないんですから。
そんなに集中して、一体何考えてたんですか?」
眉をひそめ声を尖らせ、毎度の如く大して怒ってはいない。
ただの構ってもらえない不満だろうな。
完全にほぐれる前に、もう少し刺激をやる。
「お前のこと考えててな」
口の端をゆるりと引き伸ばして告げると、なんだつまらん、呆れた顔が返ってきた。
「へー騙されると思うんですかねー。女の子にはそう言って誤魔化すんですねー。
全っ然、そういう顔じゃなかったですよ」
端から信じていない。
こういうネタでからかいすぎたか。
ま。そうだな、確かにそういう顔じゃなかったかもしれん。
「また……なんていうか、そう。下ネタでしょう。そんな顔でした」
こいつは俺のこと好きなんじゃなかったかねぇと胸中で呟きながら、ああ冗談さと喉で笑う。
ほらやっぱり、と肩をすくめる気配がするが、そう思い込んでりゃいいさ。
俺だって、たまには正直に言ってやるのにねぇ?何を考えてたかっつーと(右反転で文)
そんなとこ誰でも弱いですよっ!
ふぃぎぁー風
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