オエビログ30
今は泣いてるけど、だけどね、私は強くなったんだからね。(右反転でSS)
> 伝えるだけなのに、胸がぐいぐいと必死になる。
息ができなくなるほど、喉から体中から、あふれ出るような感じがしてる。
潤んできたあなたの顔や、どうしようもなく幼い気持ちは、私が泣いてるせい。
あの頃、あなたがどこかに行ってしまったとき、私は今みたいに叫んだ。
あのとき、泡みたいな言葉だった。
「私はここにいる」
だからどこにもいかないで。私だってあなたの妹なのよ。って。
「……ああ」
そしてあの頃とは違って、あなたの静かな声が応える。
私の言葉も、あの頃とは違うのよ。
わかってる? わかってる。言葉じゃない声が届く。
さよならじゃない抱きしめが、私の胸をぐいぐい、ぐいぐいと押し寄せてくる。
頭を撫でてくれるのは、懐かしい指。頭の中の灰色が、真っ白に晴れていく。
二年間、あれだけここが遠かったのに。
ひどいわ。
私、あなたがいないうちに、大人になってるつもりなんだからね。
なのにあなたと一緒だと、どうしてまだこんなに甘えっ子になっちゃうのかな。
ぎゅう、とマントを握る。ちゃんといてよ。
涙でぐちゃぐちゃで今ぜったいに可愛くないけど、あなたはいまさらって言うのよね。
可愛い妹じゃないもの。
あの頃みたいに待つだけの女の子じゃないもの。
私はここにいる。
ディアスのそばにいる。
今は泣いてるけど、だけどね、私は強くなったんだからね。<
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