オエビログ69


クロードCバニー


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 ふわふわと嬉しそうに寝ぼけて笑う姿があれば、酒臭さも気にならない。
 足取りがおぼつかないようで胸に頭を埋め、首に髪がちくちくと当たるのもくすぐったい。
 頬を染めた、ぬくもりのある身体が、身を任せてくる。
 おそるおそる、いいや違う宿に連れて行くため、と心の中だけで弁護しながら肩を抱くようにする。
 そして、たった一言。寝言らしく舌足らずな呟き。
「ニーネ……」
 心臓を通る血に大きな棘が混じった。
 脈拍するたびに、小さな棘が全身を流れていく。
 甘えるように首をかしげてから、すやすやと幸せそうに眠る姿に、怒りさえ湧いた。
 間違えさえしない。間違えられても、嫌だ。
 腹が立ってくる。どうして。
 腹にたまる棘が、熱をじわじわと煽る。喉を焼くように立ち上り、煙たくも燻される。
 そして目頭が熱くなる。
 どうして。
 どうして、怒る事も出来ず、ただ泣くしかできない恋なんか。

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「ニーネ」(右反転文)


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「あーもう、起こしたらケニーさんに恨まれそうだし、毛布だけかけてきたよ!」
「あれは、なんだろ、……つき合ってるのかな?こ、恋人なのかな?」
「それは二人共ハッキリ否定してたぞ」
「ケニーさんの言い方は、ハッキリとは言えなかったよ」
「ってか、奥さんいるんでしょ。ジーンさんの方に」
「そうなの?なんでこっち来たの?」
「詳しく知らないけど、セーターとか薬草とか贈ってくるの、嫁さんだって言ってた」
「だよなー。手紙、嬉しそうにしてるし、別に二人はなんでもないんじゃない? ラクール出身だっけ」
「クロスだよ! ほら、ケニーさんってクロスの王子さまってウワサ……」
「あー!政略結婚から逃げてるんでしょ?」
「そんで、妻帯者と逃避行?」
「正直、今のエルリアに好き好んできてくれる人いないもんねー、言えない事情は絶対あるよ」
「以前も漂流で立ち寄ってたけど、二人だけわざわざ戻って来てくれるなんてね」
「あとさ、タワー行ったはずなのに、どうして大陸の外から来たのかも」
「疑問だよね。こっち側からの船なんて、テヌーにさえもうないはずなのに」
「うあーもう、いろいろ聞きたい。ひっちゃかめっちゃか聞きたい」
「私も! でも聞いて、逃避行のことが本当だったら、ちょっと気まずくなりそうじゃない?」
「もし帰っちゃったら困る!やめろよ! 事情なんか、あってもなくても関係ないだろ!」
「それはもちろんそうだよぉ」
「どんな事情でもいいよ。悪い人達ってことは、たぶんないもんね」
「ケニーさんもジーンさんもすごく強いし、薬とか剣術とか教えてくれるし、いてくれないと困る」
「そうそう。魔物も随分減ったけど、無傷で倒せるのは今の所はまだ、彼らだけなんだからさ」
「だから、もし不倫とかでも、気付かないふりでそっとしておこうよ……卑怯かもしれないけれど」
「そだね。はー、クロスもたいへんだねー」
「エルリアの方がたいへんだよー」

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すよすよ(右反転文/※エルリア集落モブ会話)


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「う、あ……、あーくそ、蹴れねえ」
「嘘だろ。膝で寝てるの夢じゃなかったんだ、現実だったんだ……」
「んあ、どけ、はぁ……うー、ごけねぇ。全然感覚がねぇ」
「あっ。そっか、足がしびれたんですか?」
「そうだよ。見ての通りだよ」
「えっ? 見ての通りだと、あの、かなり扇情的で、僕は……」
「そういう目で俺を見るな馬鹿。
 いいからキュアパラライズとってこい。半量だけコップ一杯の水に溶かして寄越せ!」

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足がしびれた(右反転会話)



元気が出るおまじない


効きすぎたおまじない


おこたつで足



あの浜辺の夜を想う、最後の一瞬が欲しかった
だけどこの期に及んで、お別れの印だなんて、よくばりだった
体のぬくもり、心臓の音、まっさかさまに心が凍えるすべての愛しさ


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「……だめだ、眠くなってきた」
「おう、寝に行け。今朝は早かったからな。俺が片付けとく」
「嫌ですよ。せっかく、せっかくボーマンさんと二人きりになれたのに」
「何言ってんだ? 一緒じゃないと眠れなーいとでも言うつもりか?」
「子ども扱いしないでくださいよ!」
「おっとそっちか」
「僕は、ボーマンさんともうすこし長く一緒にいたいんです。
 夜にしか二人きりになれないのに、どうしてなんだろ、すぐ眠くなってしまうんです。
 いろいろ話したいことはあったはずなんですよ。でも、どうでもよくなる。胸がドキドキして、ふわふわしてくる」
「……こいつなぁ……」
「それに、こんなにボーマンさんはあったかいのに、眠ってしまえばボーマンさんだと分からなくなるのは、嫌だ」
「そうかい。へいへい」
「なんで流すんですか。ひどいですよ」
「流されたくないからに決まってんだろうが……
 やっぱテメーは寝に行け。俺の夢でも存分に見てろ」

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眠くなってきた(右反転会話)



おさえきれぬ肉欲


    


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